9月1日は防災の日|初の防災トイレ勉強会開催背景
2025年8月20日(水)に、9月1日「防災の日」に向けて、初の「防災トイレ勉強会」を開催しました。能登半島地震で浮かび上がった“トイレ不足”という実態を踏まえ、被災地の声や最新データ、商品の実演を交えて、災害時のトイレ備蓄の重要性をメディア関係者に向けて発信しました。

能登半島地震では、避難所でトイレが使えず排泄物が溜まり、スタッフが段ボールに排泄物を詰めざるを得ないなど、人の尊厳を損なう深刻な事態が起きました。高齢者や女性、子どもといった“トイレ弱者”にとってはさらに厳しい現実であり、実際に被災者からも「食料や水よりもトイレが困った」という声が多数寄せられていました。

一方で、防災トイレの備蓄は十分とは言えません。日本トイレ協会の調査によれば、懐中電灯の備蓄率は67.5%、水は63.4%に達しているのに対し、災害時用トイレはわずか28.8%にとどまっています。さらに、一人あたり35回分の備蓄が推奨されているにもかかわらず、半数以上の家庭では19回分以下しか用意していないという現状があります。災害時のトイレは健康と命を左右する要素であるにもかかわらず、その重要性が十分に認識されていないことが明らかになっています。
また、備蓄している方を対象としたアンケートでは、「備蓄を始めるきっかけ」として最も多かったのは「東日本大震災」で41%、次いで「南海トラフ地震臨時情報」が23.6%という結果が出ています。大規模災害や政府発表を通じて意識が高まったことがうかがえますが、災害はいつ起こるかわからないため、事後ではなく「事前の備え」が何より重要であることをお伝えしました。


今回の勉強会では、こうした現状を踏まえ、簡易トイレや凝固剤の実演を行い、備蓄の正しい数量や製品の選び方を体験を通じて学んでいただきました。サンコーが展開する防災トイレは携帯できるものから組み立て式まで計34種類にのぼり、一部商品には抗菌・消臭機能を施しており、高齢者にも使いやすい設計が特長です。2023年から2024年の2年間で約80万個の防災用品を販売し、災害現場での課題を反映した商品開発を続けています。


また、サンコーでは単なる製品供給にとどまらず、南海トラフ地震の発生を想定し、自治体や流通業者と連携して地域ごとに“備蓄のダム”を築き、災害時に迅速な物資供給を可能にするネットワークづくりを進めています。さらに、社員の防災士資格取得を支援し、学校や地域での防災啓発活動を行うなど、「備えはモノから心へ」を合言葉に、防災意識を文化として社会に根づかせる取り組みを推進しています。


防災の日に向けて初めて開催した今回の勉強会は、災害時に最も見落とされがちな「トイレ問題」を社会に問い直す機会となりました。サンコーは今後も、防災トイレの普及と正しい備蓄の啓発を通じて、「誰もが災害時にトイレで困らない社会」の実現を目指してまいります。




